【5】3章 悪口は、自分主体で生きていくには必要のないもの①




3章 悪口は、自分主体で生きていくには必要のないもの


 この本を読んでいる人は悪口を言うような人ではないと思います。

 しかし、あなたの周りにもよく悪口や愚痴を言う人がいると思います。

 でも、たとえ悪口を言われても、あなたは傷つく必要はないのです。

 私が小学生の時、あるポスターが教室の一番目立つところに貼ってありました。

 「悪口を言うのはやめよう。だって、一番悪口を聞かされるのは自分の耳だから」

 当時は、「まぁ、そうだよなぁ」くらいにしか考えていませんでした。

 でも大人になった今は、「悪口は絶対にダメ!」と言い切れるようになりました。

 あなたは、どうして悪口が良くないのか説明できますか?

 「言われたほうの人が傷ついて、かわいそうだから」と答える人が多いようです。そして次に多いのが、「分からない」という答えです。

 つまり、「いけないこととは認識していても、どうしてダメなのかを説明できない大人が多い」のです。自分の思考や考えについて言語化することが苦手ということです。

 悪口がなぜいけないのか。

 ひと言でいうと、「悪口は、自分主体で生きていくには必要のないもの」だからです。

 嫌いになることと同じで、人に振り回されるだけでなく、自分が成長するチャンスも失っているからです。

 人を嫌いになると起こることは三つに分けて解説しました。

 しかし、悪口を言うと起こることは七つに分けて解説します。

 それほど悪口は良くないということを、まずは頭の片隅に入れておいてください。

 また、悪口の部分を「愚痴」に当てはめても確実に、同じ事が起こります。

 1.現実は何も変わらない

 2.誰に対しても悪口を言うようになる

 3.言い訳をするようになる

 4.挑戦をしなくなる

 5.自分の意志が見えなくなる

 6.成長しなくなる

 7.自己嫌悪に陥る

 では、ひとつひとつ、具体的に見ていきましょう。

①現実は何も変わらない


 これはあなたも既にご存知だと思いますので、さらっといきます。

 ズバリ、悪口を言うことは一時的なストレス解消になるだけです。

 現実は何も変わりません。

 ハッキリ言って時間の無駄です。

 しかしそれを分かっていながらも、言ってしまうのが人間ですよね。

 一人では言わなくても、数人集まれば参加してしまう方は多いでしょう。

 共通の話題があると盛り上がりますし、ストレス解消にもなりますからね。

 また、自分の発言に対して「そうだね」と肯定をしてもらえるので、自分を認めてもらえたという認識を持つことでしょう。

 しかし、悪口を言うことに慣れることは長い目で見れば、確実に不幸になります。それは、習慣が人間を作るからです。

②誰に対しても悪口を言うようになる


 一度、悪口を言うと、誰に対しても悪口を言いたくなります。

 なぜなら、悪口を言っているときの自分は「正しいことをしている」と錯覚するからです。

 脳科学の話になりますが、人は、自分の正義を振りかざすことで得られる快感の中毒になりやすい生き物です。相手を攻撃することによって、ドーパミンが出るのです。

 この快感の中毒になってしまうと、誰に対しても悪口を言うようになります。

 自分とは異なる考えや意見をすべて悪と捉えて、悪口を言ってしまう。

 芸能人の不祥事など、分かりやすい攻撃対象を見つけると、さらに止まることはできません。誹謗中傷による自殺が相次いでいますが、誹謗中傷をした方は、軽い気持ちで一時のストレス解消のためにやっているのです。

 同じように、あなたの周りにもすぐに悪口、愚痴を言う人がいると思います。

 その人はすでに、悪口を言うことで快感を得ていて、それに中毒になってしまっているのです。

 この考えは次第に、ストレス解消という目的ではなく、いかに相手にダメージを与えるかのみにフォーカスし、最悪の負のループに入っていくのです。

③言い訳をするようになる


 悪口を言うことで、人間は、「自分が正しい、あの人が間違っている!」と自分の脳に刷り込んでいます。

 この刷り込みを繰り返すことで、人間は自分に言い訳をするようになります。

 なぜなら、「すべては人のせい」という認識も自分の脳に刷り込んでいるからです。

「自分の現実が上手くいかないのは、あの人のせい」

「仕事がうまくいかないのは、あの人がいつも邪魔をしてくるからだ」

「失敗したのはあの人がミスをしたからだ」

「上司に怒られたのはあの人が悪い」

 こんな言葉をよく、会社の飲み会で聞きませんか?

 飲み会は愚痴大会とも言いますが、私からしたら「言い訳大会」です。

 私は、言い訳をする大人ほど、格好悪い大人はいないと思っています。