【4】2章 人を嫌いになると、自分だけが損をする




2章 人を嫌いになると、自分だけが損をする


 ここで私からひとつ質問です。

 あなたは嫌いな人を見た時、どういう気持ちになりますか?

 ・その人を見るとイライラする

 ・その人が関わる仕事をしたくないと思う

 どの気持ちも分かります。

 具体的な影響を上げればキリがありません。

 でも、相手を嫌いになると、自分だけが損をするのです。

 相手のペースに飲み込まれて、自分主体で生きていくことが難しくなるとも言い換えられます。

 なぜなら、人を嫌いになることで

 1.嫌いな人に関わるすべての物事が嫌いになる

 2.嫌いな人の悪い点ばかりを粗探ししてしまう

 3.嫌いなのに常にその人のことばかりを考えてしまう

 というデメリットが起こるからです。

 ひとつひとつ、順番に見ていきましょう。

①嫌いな人に関わるすべての物事が嫌いになる


 こんな経験はないでしょうか?

 ・嫌いな人が設定しているスマホの着信音を聞くと、その人が頭に浮かぶ

 ・嫌いな人がよく使うボールペンを見て、その人が頭に浮かぶ

 ・嫌いな人が好きな赤色の物を見て、その人が頭に浮かぶ

 これは、人間の生存本能に訴えかけた当たり前の反応です。

 なぜなら、相手を嫌いと認識することは、「相手は敵だ」と自分に言い聞かせているということでもあります。

 敵が来たら、もちろん逃げますよね。

 ライオンにすすんで食べられるシマウマはいないです。

 嫌いと判断すると、嫌いな人に関わるものを見た瞬間、「敵が来た! 今すぐ逃げろ!」と脳が司令を出すようになります。

 しかし会社にいて、嫌いな人が来たからすぐにその場を離れるということはできませんよね。

 なので、「逃げたいのに逃げられない」という心理状況があなたになお、ストレスを与えてくるのです。

 実は、人間が一番ストレスを感じるのは「自分でコントロールできない場面にいるとき」です。

 そして、人の脳の構造上、関係のない物事を結びつけて覚える事が得意です。

 直接関係のないはずのすべての物事・五感から脳は勝手に思い出してしまいます。

 嫌いなのに、考えたくもないはずなのに、嫌いな人が頭に浮かんでしまうのはこの脳の構造が原因です。

 では、自分が好きなものを、嫌いな人も好きだったら?

 いい気分にはならないですよね。

 好きなものを見ても、その嫌いな人を思い出すようになるでしょう。

 今まで心の底から楽しめたものを楽しめなくなります。

 これは、自分が好きなものを減らしているという事になります。

 そして、「嫌いな人が好きなもの」を自分が好きになることはないでしょう。

 こうして、本来何にも関係のないものに対しても、過敏に反応するようになってしまいます。

②嫌いな人の悪い点ばかりを粗探ししてしまう


 あなたの嫌いな人が、どんなに人の助けになることをしても、仕事で大きな成果を上げても、あなたは嫌に気持ちになるでしょう。

 「でもあの人は、大したことないはず」

 「出世のための上司へのアピールだろ」

 「部下にやらせて、あの人はなにもしてないよ」

 といった具合に、悪いほうに捉えるはずです。

 人は相手を嫌いと判断すると、「相手は間違った人間だ」という認識も持つようになります。

 裏を返せば、「自分が正しい」と思い込んでいるのです。

 つまり、一度嫌いと認識すると、その人を認めることができなくなるのです。

 一度、「この人が嫌い」と判断してしまうと、その人を好きになれることは一生ありません。

 その人の悪い所を見つけて、自分の心のなかで見下すだけの日々になってしまうことほど、悲しいことはありません。

③嫌いなのに常にその人のことばかりを考えてしまう


 嫌いな人のことばかりを考えてしまうのは、嫌ですよね。

 会っていない時でも思い出すなんて、最悪ですよね。

 でも、あなたはそれをしているんです。

 仕事で理不尽なダメ出しをされる、自分がコンプレックスに思っている所を笑われた、などの直接嫌なことを言われたり、された時を思い出してみてください。

 もちろん、された瞬間も嫌な気持ちになりますよね。

 そして家に帰って、こんなことを言われた、と悲しい気持ちやイライラを振り返っているでしょう。

 この状況はまさに、嫌いな人を使って、自分で自分を傷つけているということです。嫌いな人を思い出すのは、自傷行為とも言えます。

 嫌いなのに、思い出したくないのに、嫌いな人にずっと振り回されてしまうのです。

 この事実に気づかずに、自分で自分を責め続けていくと、いずれ心が疲れていきます。

 そして、その人をさらに嫌いになっていくでしょう。

 ・その人だけではなく、関わるものすべてを嫌いになっていく

 ・自分の好きなものも嫌いになってしまう

 ・好きなものを増やすチャンスも逃していく

 ・嫌いな人を思い出して、繰り返し自分を傷つける

 嫌いな人ができると、これだけのデメリットがあるのです。

 そして、嫌いな人から自分を守るために、嫌いな人の悪口を言うようになります。

 悪口を言うようになると、本格的に不幸になっていきます。

 人を嫌いと認識することで、苦しむのは自分です。

 だからこそ、なるべく、他人を嫌いにならないで上げてほしいのです。 

 それは、嫌いな誰かのためでありません。あくまでも、あなたのために。

 嫌いだなと思ったら、目を合わせてみる。

 まずはそれを、試してみてください。