
⑤人間関係の悩みは、目線が合っていないことが原因
人間関係の悩みを聞いていると、「お互いに目線が合っていない」ことがほとんどです。
上司は部下を下に見ていて、自分も上司を心のなかで見下している。
そんなことないと否定する人もいますが、自分の相手に対する態度などを思い出して、よくよく考えてみてほしいのです。
この状態では、お互いに下を向いているので、目線は合っていないですよね。
つまり、お互いに存在を認識していないのです。
目線が合わずに、コミュニケーションを取ることはできません。
目線が合わずに、分かり合うことはできません。
目線が合って、お互いに存在を認識する。
そこではじめて、コミュニケーションが始まります。
「大人同士でそんなことしなくちゃいけないの?」
「それは上司がやるべきでしょう。どうして自分が譲歩するの?」
という人もいるでしょう。
でも、目線を合わせれば、相手の気持ちを考えられるようになります。
いつもの自分から一歩引いて考え、相手を観察しながら、相手の気持を考えてみるようになるのです。
では、相手を観察するとは何でしょう?
相手を観察するとは「自分のなかで相手をテストしていく」ことです。
自分ならこの場面ならこうする、こう言われたらこう返す、などの反射的に出てしまう言動のクセがひとりひとりにあると思います。
・褒められたら、「そんなことありません」と否定してしまう
・上司に怒られた後は、誰とも話したくなくなる
思い当たる節はありませんか?
同じ場面の時、相手はどうしているかを観察して、自分との違いを探していきましょう。
そして、前述したように、
「その人を好き、嫌いか」
だけで判断しないようにしましょう。
例えば、皆さんも面接をしてから、今の会社に就職をしたと思います。
なぜ面接をするのでしょうか?
会社の社風に適しているか、どんなことが好きなのか、趣味はなにか、得意なこと、苦手なことを話して、お互いにどんな会社、人物なのかの認識を合わせたいからです。
この面接を、私たちは、日常生活のなかで、初対面の人にも行いますよね。
そうすると、自分と気が合う、合わないだけの判断する前に、その人について知ることができます。
ここでの注意点は、あくまでもさりげなく聞いてみるということです。
上から目線もいけません。そして、あまりパーソナルな質問は相手が身構えてしまうので、自分との距離感を見ながらにします。
また、この根本的な部分を理解していると、初頭効果に引っかからないようになります。
初頭効果とは、初対面の七秒間で相手の印象を判断してしまうことです。
しかも、その七秒の印象が半年も続きます。
例えば、初対面の印象で「不機嫌そうだな」と思ったとします。
次の日、その人が笑顔でいるところを見ると「今日は、たまたま機嫌がいいだけだろう。明日はまた、不機嫌だろうな」と感じてしまいます。
つまり、初対面時の「不機嫌そうだ」という印象が半年も続くということです。
このとき、自分のなかでは「あの人は不機嫌でいることが普通だ」という印象が無意識に脳に刻み込まれています。
最初の七秒間で人を知り、決めつけるなんてことはできるわけありません。
⑥目線を合わせる方法
まずは、その人の性格、好み、行動の傾向などをよく見てみましょう。
・よく言う発言は?
・好きなものは?
・嫌いなものは?
・よく食べている物は?
・笑いのツボは?
・好きな芸能人とかいる?
・他の人にはどういう態度をしている?
・または、どんな風にされている?
もちろん、右記以外にも沢山あります。
「自分だったらこう言われると凹むけど、この人はポジティブに捉えることができる人なんだな」
「電話対応は得意だけど、書類整理は苦手なんだな」
「私が嫌いな食べ物が大好物なんだな」
など気づくことが沢山あるはずです。それに気づいていきましょう。
ここで大切なのは、「その人を好き、嫌い」と判断しないことです。
ただ、知るだけで十分です。
⑦デリカシーがない上司と目線を合わせる
例えば、あなたに新しい上司ができました。その人を観察した結果、
・デリカシーがない発言をする
・常に偉そう、人を下に見ている
・人を小馬鹿にした態度
という風に見えました。
「よし、嫌いになろう。離れよう。」と思う前に、ここで目線を合わせてみます。
そして、あなたも、(自分の言える範囲でいいから)、その人にデリカシーがない発言を仕返ししてみましょう。
その上司は、心の底からそう思ってデリカシーがない発言をしているのでしょうか?
多くの場合は、深く考えずに、息を吐くように発言していると思います。
そのため、あなたも、その上司に対して息を吐くように、軽い気持ちでデリカシーがない発言をしてもいいのです。
逆にいえば、相手は息を吐くように軽い気持ちで言っているだけなので、気にしなくてもいいのです。
この場面で、話を早く終わらせたくて、上司の言ったことすべてに肯定してしまう人も多いと思います。
しかし、そうなると自分はコバンザメ状態になってしまいます。
こういった場面では、デリカシーがない発言部分はスルーをして、違う話題を振るのが適しています。
次に、自分に対してデリカシーがない発言をされたら反撃しましょう!
ここが目線を合わせる最大限のチャンスです。
イメージはジャブを打ち返すイメージです。
「でも、(上司)さんもこの前の忘年会の服、ダサかったですよ!」
くらいで十分です。
ここで重要なのは、言い過ぎないこと。笑える内容であること。
小さい失敗をいじるとかもいいと思います。
正直いって、ここの塩梅は難しいです。
その人のパターン、場の空気感を読み取る力が必要なので、難しいときは、次に紹介する方法をおすすめします。
それは、仕事で「いちゃもん」をつけられたときです。
例えば、自分の仕事に、一部分だけを見て急に指摘をされた事ありませんか?
もちろん、嫌な気分になりますよね。
絶対に自分が正しいと言い切れる場面では、自分は間違っていないと、強く言ってみてください。
そうすると、上司は「ん?」とこちらを見てくれます。
これは一瞬、目が合っている状態です。でもすぐに逸らされるでしょう。
これを繰り返していきます。
「上司を論破させてやろう」とする気持ちは持ってはいけません。
嫌な気分にさせようとも思ってはダメですよ。
あくまでも、対等な気持ちを持って自分の意見を伝えるのです。
次の章からは、人を嫌いになるとどうなるのかを徹底解説します。