【2】1章 目線を合わせると、上手くいく①




1章 目線を合わせると、上手くいく

①自分で助けを求めなければ、誰も助けてくれない


 最初に、私がこれまでうつ病や接客業、上司にいじめられた経験から感じたことをお伝えさせてください。

 それは「自分で助けを求めなければ、誰も助けてくれない」ということです。

 言い換えれば、「現実は自分にしか変えられない」ともいえます。

 黙っていても、だれかが助けてくれるのは、子どもまでです。

 大人ならば、自分で責任を持って、助けを求めなければいけないのです。

 幸せになるには、自分で自分を幸せにする。

 理想の人間関係を作るには、自分で理想の人間関係を作る。

 人生で一番大切だけど、一番忘れがちなことですよね。

②あなたなら、どうアドバイスする?


 あなたが、こんなアドバイスを受けたらどのようにアドバイスをしますか?

 ある日、こんな相談を受けました。

 相談をしてきた人は、二十代半ばの男性。社会福祉士として働いています。

 新しい職場に転職して半年が経過したが、悩みができたというのです。

 仕事内容を覚えてきて、自分から行動・発言できることも増えてくる頃ですね。

 同僚たちも気の合う、面白い人が多く、過ごしやすい。

 仕事内容も転職前と比べてやりがいを感じる。

 そしてなによりも、給料や福利厚生に満足している。

 正直いって、ここ以上の職場はないとも考えているそうです。

 しかし、ただ一人、どうしても好きになれない人がいます。

 それは彼の上司。

 その上司が嫌すぎて耐えられず、辞めていった人もいます。

 さらには、上司は、前にいた部署でも嫌われていたそうです。

 ・常に自分の話ばかりをする

 ・本で読んだ知識を自分の言葉のように使い、説教をしてくる

 ・必要としていないのにアドバイスをしてくる

 ・仕事の一部分だけを見て、すぐに批判をしてくる

 ・部下には横柄だが、上の立場の人には常に頭を下げている

 ・人のコンプレックスを笑ってくるなど、デリカシーがない

 同じ部署内にいるほぼ全員が、この上司を嫌いだといっているそうです。

 彼は来年に昇進することが決まっていて、今よりもさらにスキルアップすることが間違いないそうです。チャレンジしたい、と強く思っているが、その気持を帳消しにするくらい上司が嫌いで、昇進することによって、上司と近くなるのが嫌だといいます。

 実はこの悩み相談、私の兄から受けました。

 私は最初に、「仕事を辞めたいの?」と聞きました。

 兄は「絶対に辞めたくない」と答えました。

 そして私は、「部署を異動できないの?」と聞きました。

 兄は「できるけど、同僚たちは好きだから異動したくない」と答えました。

 話を聞いて私は、兄の悪い点が一つ、見つかりました。

 それは同僚とはできていることが、上司とはできていないのです。

 それは、「目線を合わせる」ということです。

 一番シンプルだけど、大切なことです。

 それができていないので、すれ違いが起きてしまっていたのです。

③「目線を合わせる」とは


 大人と子どもが会話をするとき、ほとんどの大人が目線を合わせますよね。同じように、大人と大人が話す時も、お互いに目線を合わせて会話することが大切なのです。

 忘れないうちに冒頭で伝えておきます。

「目線を合わせる」とは、つまり、「人を嫌いと判断しないようにする」ことでもあります。つまり、どういうことか? これから解説していきましょう。

④「目線を合わせる」となぜ良いのか?


 目線を合わせれば、人を嫌いになることが格段に減ります。

 あなたは子どもと話すとき、どのような姿勢で話しますか?

 そのまま見下ろして話しますか?

 いえいえ、そんなことしませんよね。

 子どもと同じ目線になるために、屈むという方がほとんどだと思います。

 そもそもなぜ、大人と子どもが会話をする時に目線を合わせるのでしょうか。

 この問いにはほとんどの人が「怖がらせないため」と答えると思います。

 また、相手を肯定してあげる意味もあります。

 「あなたは今、存在しているよ」

 「私は今、存在しているよ」

 「あなたの話を聞くよ(聞いているよ)」

 この気持ちは、言葉で直接伝えなくても、目線を合わせるだけで伝えることができるのです。

 極論ですが、子ども相手だけでなく、大人同士でも目線を合わせることができるようになれば人間関係に悩むことはなくなるでしょう。

 上司や部下や家族でも、友好な人間関係を築くことができるようになります。

 「目線を合わせる」行為は、人生を変える行為とも言い切れます。

 目線を合わせれば、人を嫌いになることが格段に減ります。

 人を嫌いになると、人間は不幸になっていくからです。