【3】国民の10人に1人が生活習慣病の現実



生活習慣病の患者数は年々増えています。

 その中で生活習慣病の種類によって患者数が違っていることをご存じですか?

 生活習慣病で1番患者数が多いとされているのが高血圧性疾患です。そして次に患者数が多いとされているのが糖尿病、心疾患、脳血管疾患、がんの順番に、生活習慣病の患者数は増えています。

 生活習慣病の高血圧性疾患の患者数は718万6千人で、ひと事とはいえない患者数であることがわかります。次いで患者数の多い糖尿病で211万5千人、そして心疾患が184万5千人、脳血管疾患が147万4千人、がんが127万人いるといわれています。

 生活習慣病で医療機関にかかっているという患者数の総合計は全国に1400万人以上いるとされ、総人口で割ると、約10人に1人は生活習慣病ということになります。

 日本はほかの海外の国に比べると長寿国であると同時に、生活習慣病大国であるということが最近の傾向です。

 患者数がここ数年で大きく増えたことの原因として、生活習慣が原因であることがよくわかります。

 まず運動不足については、マイカーの普及、デスクワークなどにより運動をする機会が減っていることが主な原因です。

そして食生活については、和食で野菜中心だった日本食から、高カロリーで肉食中心の食事である欧米化した食生活へ変化していったことが原因です。

 そして仕事が忙しくストレスもたまりやすい環境の中で生活をしているということも生活習慣病の患者数が増えたことの原因ではないでしょうか?

 これからも患者数はまだまだ増えると予想されています。

 次に、生活習慣病である、高血圧、糖尿病、心臓病、動脈硬化、がんについてお伝えしていきます。

高血圧


 高血圧にかかっている人は、生活習慣病の患者数の中でも1番多いといわれています。

 血圧は血管に与えている血液の圧力のことをいいますが、血圧は心臓が収縮し、動脈に送り出されるときが最大血圧、心臓が拡張して血液が心臓にいっぱいになることを最少血圧とよんでいます。

 血圧は、年齢によっても違っていますし、季節でも違います。また一日を通しても、運動や食事、精神状態によっても違ってくるという特徴があります。

 高血圧というのは常に血圧が高い状態のことをいいますが、自覚症状がないことが大きな特徴です。

 生活習慣病の高血圧をそのまま放っておくと、動脈硬化になったり、脳卒中、心臓病や腎臓病など、さまざまな病気を引き起こす要因になるといわれています。

 もしも高血圧だといわれたら、すぐにでも生活習慣を改善させなければいけません。

 まず肥満である人は肥満を解消することが一つの方法です。

 そして適度な運動も血圧を下げることにつながります。高血圧と診断された人は、食生活にも気をつけながら、適度な運動を取り入れて治療していくことが改善につながります。

 悪化してしまった場合には常に薬を服用して生きていかなければなりません。

 それ以前に早めに生活習慣病に気がついて、症状が出る前に予防することが一番大切なことになるのではないでしょうか?

糖尿病


 生活習慣病の糖尿病も高血圧と同じで、自覚症状がありません。健康診断を受けて初めて自分が糖尿病であるということに気がつくという人がほとんどです。

 糖尿病とは血糖値が高い状態が続くことです。この状態が長く続いていくと次第に全身に障害が起きてきます。

 糖尿病になりやすい人の生活習慣というのは、食べすぎ、アルコールの摂取のしすぎなどが原因とされています。

 糖尿病にかかってしまったら、食事療法や運動療法、ときには薬を使いながら、治療を進めていくことになるので短期間での完治は難しくなります。

 さらに糖尿病が原因でさまざまな病気の引き金になっていきます。

 例えば、生活習慣病の糖尿病を発症したことによって、腎不全になったり、失明してしまったり、脳卒中にかかってしまう、心臓病を患うなど、さまざまな病気を発症しやすい状態になってしまうのです。

 生活習慣病として糖尿病の疑いがあるといわれた場合には、早めに治療を始めなければなりません。

 検査を受けて、高血糖だということがわかったら、食べ物に気をつけたり、運動をして、血糖値を自分で管理しなければいけません。

 日本で生活習慣病の糖尿病になる人の割合はとても多いといわれていて、少しでも早く発見して、早期治療をすることが大切です。

心臓病


 生活習慣病の心臓病はさまざまな種類があります。

 生活習慣病の一つで、狭心症、心筋梗塞といった病気も生活習慣病の中の心臓病に含まれます。そして脈が乱れてしまう不整脈などがそれにあたります。

 生活習慣病の中でも心臓病は特に怖いといわれています。

 なぜなら単純に、心臓が止まってしまったら血液がいきとどかなくなり、死にいたるからです。誰もいない場所で一人で倒れてしまった場合には、死にいたる確率は高くなりますし、死にいたらなかったという場合でも、重度の障害を負う危険性もあります。

 生活習慣病の心臓病を予防するための方法としては、血圧と血液中に脂質のバランスを正常に保つことが大切です。そのためには食生活で血圧を抑えるためにも食事は薄味で、塩分の取りすぎには注意して、甘いものや炭水化物なども取りすぎないことが大切です。

 そして喫煙習慣がある人も、生活習慣病の心臓病を引き起こす要因の一つになりますので、この点も十分に注意しておく必要があります。ストレスを感じない生活、適度なストレス発散、そして適度な運動をすることも、心臓病を予防することにつながります。

 毎日の生活の中で、気を付けられる点には十分に気をつけて、心臓病にならないようにケアすることが必要です。

動脈硬化


 生活習慣病の一つに、動脈硬化があります。

 生活習慣病の動脈硬化は、血管の内側に、コレステロールをはじめとする脂肪が固まってしまって、血管が固くなり、もろくなる状態のことをいいます。

 生活習慣病の動脈硬化が発症してしまうと、動脈の壁の弾力は弱くなり、血管の内側が細くなります。

 そうなると血液の流れはどんどん悪くなり、血圧も上がってしまい、血管の壁がさらにもろくなっていきます。

 最終的には組織、臓器といった部分に適切な血液を運ぶことができなくなり、重い病気を引き起こすことになるのです。

 動脈硬化が引き起こす病気としては、脳出血、脳梗塞、心筋梗塞などがあります。生活習慣病の動脈硬化を防ぐためには、まずは食生活を見直す必要があります。

 食生活では動物性脂肪を出来るだけ控えて、野菜中心の食事を意識しましょう。肉類は飽和脂肪酸やコレステロールが増える要因なので、動脈硬化になりやすいです。

 コレステロールを多く含んでいる食べ物を控えて、食物繊維を豊富に摂取することで、コレステロールを体の外に排出させることができます。

 そして糖分を取りすぎないこと、また塩分の取りすぎにも注意することが生活習慣病の動脈硬化を改善させることにつながります。

がん


 生活習慣病と聞くと、高血圧や糖尿病が一般的に知られていますが、がんも生活習慣病の一つであることを知っていたでしょうか?

 がんになる原因というのは、喫煙や、食生活、運動不足にアルコールなどが多いといわれています。つまり、がんの原因のほとんどが生活習慣が原因で発症しているということです。

 生活習慣病であるがんを予防するためにはどうすればいいのでしょうか。

 その方法として、バランスのいい食事を心がけることです。偏食するのではなくて、変化のある食生活をつけることも大切です。常に腹8分目の食事にとどめて、高カロリーで脂肪が高めの食事を控えましょう。アルコールはほどほどにして、できれば喫煙はやめましょう。

 食生活の中からビタミン、食物繊維を豊富に摂取することが大切です。味付けは、塩分を少なくして薄味にすることも大切です。

 そして適度に運動をして、運動不足を解消することも大切です。

 生活習慣病のがんを予防するためにも、生活習慣を見直し、規則正しい生活を送り、そして食生活を改善させれば、がんになる確率を減らすことができます。

 がんは生活習慣病ではないという認識をしている人が多いですが、れっきとした生活習慣病ですので、十分に注意して、予防できることなら未然に防ぎましょう。